今回の記事ではアメリカと日本の学校で考え方の違い、教え方の違いなどをまとめてみました。日米の教育を比較し、今後の子供の教育について何が理想なのか考察しています。教育についてご興味のある方へご参考になればと思います。
アメリカの学校は、日本の学校と違い、国で定められている学習指導要領のようなものはありません。州や郡(カウンティー)の教育委員会に委ねられており、州やその地域の郡の方針、更にはそれぞれの教師個人個人によって考え方・教え方は様々です。
しかし、大きな教育のあり方についてはアメリカのどの州でも一貫していて、日本の教育方法と大きく違うのが印象的でした。日本の学校とは制度や行事なども全く異なり、驚きの連続だったことを覚えています。
幼稚園からプレゼン能力を鍛える「プロジェクト」と呼ばれる課題の多さ
アメリカの学校では幼い頃から人前で自分の意見を主張する訓練に力を入れています。
子供を幼稚園に入れた時も「自分の好きなもの」をクラスみんなの前で1人で発表、説明するということをやっていました。
そして公立中学と公立高校に通わせてみた時に一番印象的だったのは「プロジェクト」と呼ばれる、リサーチ+ディスカッション+プレゼンテーションの3つをセットで行う課題が大量に出るところです。
1人またはペアもしくは少人数のグループで、あるテーマに沿ってリサーチを行い、グループディスカッションをやり、必ずパワーポイントでプレゼンテーションをクラス全員の前で行います。
シリコンバレーの公立中学では個人のノートパソコンがないとこのプロジェクトの課題についていけません。私の娘にも学割を使ってApple MacBook Airを買い与えました。
1ヶ月に5回くらい、複数のプロジェクトが別の教科で同時並行という時期もあります。年間では35回〜40回のプロジェクトの課題が出ていました。
これを中学校3年間で約120回もこなすのですから、リサーチ力、ディスカッション力、プレゼンテーション能力が身につくはずです。娘は「あれはキツかった!」と言っていましたが、相当鍛えられたようです。
プレゼンテーションの発表は基本1人で壇上に上がり、パワーポイントで資料を説明します。家で行う発表の練習にも私が協力したのを覚えています。
帰国後、日本の私立高校での「プロジェクトに相当する課題」すなわち、調べて、話し合って、資料を作成してという機会は年に2回だけでした。3年間でプロジェクトの経験回数の差はアメリカ120回に対し、日本はたった6回。
しかも娘の日本の私立高校では資料をせっかくパワーポイントで作ったのに、それを印刷させられて配布、それを聞いて愕然としました。なぜペーパーレスを教えないのか?時代錯誤もいいとこですね。
どう思いますか?大人になってから実際のビジネスシーンでなぜアメリカ人のプレゼンが上手いのかここではっきりと証明されています。幼稚園、小学校、中学校の間でも何度も何度もプレゼンテーションする事を鍛えられているのです。
当然ながら高校、大学と進学してもこのような「プロジェクト形式」「グループディスカッション」の教育方法が重要視されていました。
一方、日本の学校では先生が一方通行で教える形式が圧倒的に長い時間費やされ、「ここ試験に出るからよく覚えておくように」と期末試験などでどれくらい記憶できてるか?が重要視されている印象です。本当にこんな教え方でいいのか?と疑問に思えてきました。
通知表はオンラインしかも毎週更新
娘が通っていた公立中学校はアメリカの中でも標準的な中学校でしたが、シリコンバレーの北端部にあるせいか、ITは最先端でした。
学校の通知表はオンラインで、親と子供のアカウントを登録してスクールイントラネットで毎週更新されていました。スマホでももちろん見ることができます。
授業中何回発言したか、何回手を挙げたのか、宿題を提出して受理されたのかもそのイントラネット上で確認でき、毎週成績が変化していました。プロジェクトの発表後で内容が高評価だと通知表の評価もすぐに反映されます。
先生とのやりとりもそのイントラネット上の専用メールで行います。給食の支払いも学校への寄付金も学校行事への参加・不参加の回答もそこでやります。紙は一切無しです。
パソコンやスマホがない家庭は完全に置いていかれてしまいます。そのあたりのデジタルデバイドははっきりとしていました。
パソコンのリテラシーがない親御さんはお子さんを学校に通わせる資格はないですとばかりにバッサリ切り捨てています。そういうドライさはアメリカらしいなと思いました。
試験の際に電卓を使ってよい
この事実も目からウロコでした。日本の学校で試験中に電卓を使っても良いという学校があるなんで聞いたことがありません。
アメリカの公立中学、公立高校では、常に電卓の使用が認められていました。理由は以下です。電卓でできるような計算は実際の生活においても電卓を使うことが当たり前になっていますと。暗算が出来ることが特別評価されていないらしいです。電卓でいいじゃないかと。どこにでもあるのだから。
その試験で試されているのは、もっと複雑な問題解決力、応用力、思考力を見ているので、早く計算できるとかは評価の対象になっていないため電卓で良いと。なるほど、合理的ですね。
アメリカのユニークなホームスクーリング制度とは?
ある日、町内のイベントで星を見ながらピザを食べよう!というのがありました。夕食を町内会費で出してくれるというので家族全員で公園に行くと、大量のピザとコーラが。夕食にピザとコーラだけか…栄養バランスが気になりましたが、ま、たまにはいいか。とピザをたらふく頂きました。
近くに座っていた金髪のアメリカ人の女の子に話しかけてみました「こんばんは、君はどこの学校の生徒?」
「こんばんは、私はホームスクールよ」「えっ、ホームスクール?なにそれ?」この時初めてアメリカのホームスクーリング制度を知りました。
何らかの理由で、学校に通わず親や家庭教師が勉強を教えて卒業認定が受けられる制度です。アメリカのように広すぎて学校が近くにない家の子や集団生活が苦手な子なども認定を受けているようです。全米で約200万人いるそうです。
人それぞれ色々な理由があると思うので、非常に柔軟な良い制度があるなと感心したものです。これは日本にも導入すべきではないでしょうか?
親が認定を受けなければいけないので一定のハードルはあります。ただの登校拒否では認定されません。正当な理由が必要ですが。
アメリカの学校のユニークな公式行事の一例
アメリカの公立高校の行事の一つにカミングアウトデーというのがあります。昼休みに学校の全員が広場に集まり中央にドアを設置して、そのドアを開けて皆の前でカミングアウトできるという行事です。思いつめていることを解放するイベントです。多くの生徒は皆の前で※LGBTQを明かすのです。
※LGBTQとは?
- L=レズビアン 女性同性愛者
- G=ゲイ 男性同性愛者
- B=バイセクシャル 男性、女性両方とも愛せる人
- T=トランスジェンダー 身体的な性と性自認が一致しない人
- Q=クエスチョニング 性自認、性的指向が定まらない人
日本ではいじめの原因になるなどとして、学校でそれを明かすなどということはやらないと思います。思考回路が全く違いますね。
アメリカは真逆です。自分をすべてさらけ出して、もっと知ってもらおう!すべてを知ってもらった上で仲良くなろう!というノリです。
よく言ってくれた、あなたって勇気あるね。よろしく!と言った具合に逆に仲良くなったり。プラス思考ですよね。
日米教育の考え方まとめ
私が自分の子供をアメリカの学校と日本の学校両方に通わせてみた結果、やはり改めて思ったのはアメリカの教育は個人の意見を主張する力、思考力、応用力、議論する力、資料をまとめる力など創造的なビジネスに有効なスキルを早い段階から教えているということでした。
日本の教育はどうしてもどれだけ暗記できているか?というところが目について仕方ありません。
もちろん思考するにしても応用するにしても、知識が十分にあってこそ成り立つのはわかりますが。
今後の日本の学校教育で強化しなければならないのは、思考力、創造力を伸ばす教育ではないでしょうか?
この大変革の潮流変化が起きている時代にどういうビジョンを?どういう戦略を持つのか?などますます創造的な仕事が世の中で求められ増えていくと予想される中で子供達にはぜひこの領域を学んで行ってほしいと思います。
小学校や中学校からでももっと生徒同士でディスカッションし、意見をまとめ、資料に落とし込んで発表する「プロジェクト形式」の教育が拡充されることを切に願います。どうか先生方、お願いします!
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