アメリカのデザインコンサル会社と仕事するメリット

アメリカのデザインコンサルティング会社ってどうなの?と疑問をお持ちの方へ。

IDEO Frog Lunar Zibaなどと一度仕事してみたいと思う方へ。

本記事では、私がアメリカ赴任中に仕事で関わったことのあるアメリカのデザインコンサル会社とのコミュニケーションで得た経験を元に、メリット、デメリットについて語りたいと思います。ご参考になれば幸いです。


アメリカのデザインコンサル会社と仕事するメリットは?

私の経験上から答えると、アメリカのデザインコンサル会社と仕事するメリットは十分にあります。理由はいくつかありますので順を追って解説していきます。


マインドセット

日本人や日本の組織とアメリカのデザインコンサル会社はそもそものマインドセットが違います。何か変革を起したいなら、彼らの視点・手法を取り込むのは一つの手です。

その違いというのは下記5つの考え方だと思います。最近日本の会社でもこのような考え方が徐々に増えて来ているとは思いますが、まだまだ浸透しきっていない印象ですね。

  1. Democraticであること:民主的、社会的平等性、組織のヒエラルキーに捉われることなく、平等な発言権を重視していると思います。
  2. Empowermentであること:個人の考え方を尊重し、より高い目的に向かわせる為に、個人が活躍できるよう推してくれます。若い人でも主役になれる機会が多い印象です。
  3. Experimentalであること:リスクを取ってでも、現在のスキルセットを越えるレベルであっても果敢にチャレンジし、試そうとします。
  4. Diversityであること:片方や一箇所に偏らない考え方、違う複数の視点を必ず入れます。要はクロスファンクショナルな進め方です。
  5. Open mindedであること:既成概念に捉われず、新しい事に対して批判や否定をせず、結論付ける前にまずは肯定し、議論しつくします。

人的ネットワークが幅広い

マインドセットも素晴らしいものがありますが、彼らの個人間ネットワークの結びつきの強さと幅広さも実際に仕事をしてみて感心するものがありました。委託するプロジェクトの素性に合わせてどんな人でも外部から呼んできてくれます。その専門家をプロジェクトチームにjoinさせ、常に議論が偏らないよう多眼的な進め方でファシリテートしてくれます。

アメリカではフリーランスのコンサルタントや専門家が多く、出身大学などのOB&OGネットワークが盛んで(Alumni:アルムナイと呼ばれています)そのような繋がりから最適な専門家を選び出してくれるのです。様々な分野のスタートアップや個人専門家の大量のリストを持っています。人的市場流動性が高いのもアメリカの特徴です。

デザインコンサル会社の社員はデザイン思考の発祥地とも言えるスタンフォード大学Dスクールやイリノイ工科大学デザイン学科の出身者が多く、デザイン思考のプロ達との交流が可能で、クライアント側も非常に勉強になります。



スピード感が違う

アジャイル開発とはよく言ったもので、とにかく進めていくスピードが早いですね。資料の準備も素早いですし、ワークショップでのディスカッションにしても次々にクライアントメンバーをファシリテーターが当てていき、意見を述べさせ、まとめていきます。全体的にアップテンポです。


デザイン思考がベース

デザイン思考法

「デザイン」という言葉は日本では「形や色である」という印象を持つ人が多いですが、アメリカでは元々設計のことを「design」と言いますし、世界的に使われる意味合いはもっと広義な捉え方です。デザイン思考法は何かというと、全く新しい商品やサービス、事業、プロセスなどを創造する手法。もう少し噛み砕くと生活者視点や生活者の観察を通して得た洞察や共感から新しい視点でアイデア・提供価値を創造する手法で、必ずしも「形や色」の創造法ではありません。

先進国を中心とする世界潮流として価値観がモノからコトへ徐々にシフトしていて、アメリカを発端とするこのデザイン思考法は従来の価値創造法で対応しきれないと悟った人達が産業の大変革が起きている中、未来へどう対処していくのかという命題を解決するために盛んに大学や企業で試行錯誤されてきています。アメリカのデザインコンサル会社は当たり前にこの手法を使い、日本では経験できなかった新たな視点での助言や提言を得ることができます。

イリノイ工科大学のデザイン思考を教えられているヴィジェイ・クーマー教授によって101種類ものデザイン思考法が紹介されている本が下記です。私は英語版で読みましたが、ここに書かれている手法を仕事でも活用し、成果をあげることができました。


デザイン思考がこれからの社会になぜ必要なのかをもっと知りたい方は下記の本がお薦めです。早稲田大学 入山章栄 准教授、MIT Media Lab 石井裕 教授も推されています。


アメリカならではのワークショップ手法

Frog Designにあるプロジェクトをお願いした時のことです。関係者全員参加のワークショップ形式で行われたやり方が、今まで一度も目にした事のなかった手法で大変驚いたのを覚えています。

最初に関係者は全員席を立って円陣を組みます。そして透明なボールを想定して円陣の向かい側の人にボールを投げるふりをします。投げられた人はボールをキャッチしたふりをし、今度はまた対面の人に投げ返します。童心に返ったように皆笑いながらこのアクティビティーをやります。全員にその透明ボールが回りきったらさっと席について「ではブレインストーミングを初めてください!10分間!」という具合です。血流量が増し脳に十分な栄養と酸素が送り込まれた状態でブレストという訳です。これはほんの1例ですが、他で目にしたことも聞いたこともない手法が次々に出てきて、目からウロコの状態だったのが記憶に残っています。


Frog designは2年間くらい一緒に仕事をしましたが、あらゆる意味でバランスが取れていて仕事がしやすかった印象です。アイデアも面白いものが若手のFrogメンバーから出てきてプロジェクトへ採用しました。

Frog Designの創始者であるハルトメット・エスリンガー氏が広義な意味でのデザイン戦略について解説している本が下記です。一読の価値ありです。


こちらの本はアメリカのデザインオフィス20社による、ブランディングのノウハウが書かれている本で、デザイン思考によって得られた成果の好事例を読み解くことができます。


デメリットは?

アメリカのデザインコンサル会社についていい所ばかりを書きましたが、デメリットもあります。日本に比べ料金がかなり高めです。IDEO Frog Lunar Zibaなど有名どころは特にそうです。

なぜかといえば、有名な所には優秀なDirectorやSeniorクラスの社員が在籍していますが、その人達のアワーレートが非常に高いのです。そういう人たちに当たればプロジェクトの成功の確率も当然ながら上がります。市場原理としては自然なことです。

プロジェクトの規模や難易度によってチーム編成が変わりますが、難易度が高そうなプロジェクトは優秀なDirectorを複数つけたりするのでフィーが跳ね上がります。逆に難易度がそんなに高くない仕事であれば新人が何人か付いたりし、フィーも安めに抑えられたりします。


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