今回は、アメリカの有名私立名門大学の一つ、スタンフォード大学Dスクールを訪問、なぜDスクールが注目され続けているのか、デザインシンキングの教え方、そのオリジナリティー溢れる環境をレポートします。
スタンフォード大学とは?
スタンフォード大学はアメリカのカリフォルニア州のスタンフォードという街にあり、シリコンバレーのほぼ中心部の非常に治安が良く、ベイエリアのエリートたちが憧れる上質な環境のエリアです。
周囲は高級住宅街に囲まれ、近くには高級ブランドのアンテナショップが軒を連ねるスタンフォードショッピングセンターがあり、晴天率が高く、夏でも暑くなりすぎない乾燥した清々しい気候が多く、勉学には最高の土地ですね。
創設者は大陸横断鉄道(Central Pacific Railroad)の創業者でもある、リーランド・スタンフォード氏で1891年に創立。キャンパスの広さは3310ヘクタール=993万坪。東京ドーム約700個分!! 正直、広すぎます。
スタンフォード大学は世界の大学ランキングでハーバード大学、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、マサチューセッツ工科大学などと並び常に上位にいます。
アメリカの大学で一番入学が難しいと言われており、合格率は4.7%(2017年)
土地柄IT企業やコンピューター関連の有名人の卒業生が多く、例えばGoogle創業者のセルゲイ・ブリン氏、ラリー・ペイジ氏も卒業生です。日本人で有名な人だと鳩山由紀夫元首相がPhD(博士課程)で卒業されていますね。
スタンフォード大学Dスクールとは?
Dスクールは正式にはハッソ・プラットナーデザイン研究所といい、ドイツの老舗IT企業SAPの会長ハッソ・プラットナー氏とIDEOの創立者であり、Dスクールの教授デビット・ケリー氏のお2人によって設立されました。
Dスクールは学科ではなく、デザインシンキングを実践する講座です。単位は取れますが、ここで学士のDegreeが取れるわけではないです。またデザイナーを養成するところでもなく、目的はデザイナーが普段から実践している「デザイン思考法」を使って、イノベーションや新たな付加価値を生み出す人材を育成する場です。
所属している学生はデザイン系ではなく、法学部、理工学部、経済学部など普段デザインと関係のない学部の学生がほとんど。
DスクールのDはDesignのDですが、ここでいうDesignは色や形のことではなく、広義の意味でのデザインです。広義の意味でのデザインとは、ビジネスモデル創出や様々な問題解決も含んだ”コト”を指します。
整理して言うと「広義のデザイン=社会の問題解決」「デザイン思考法=社会の問題解決をするための思考法」ということになります。
要はイノベーション。今までに無かった解決方法を創出するということです。
そのための具体的手法を体系的に教えてくれます。アメリカの大学はこのように体系的に情報を整理して教えるということが上手い大学が多いように思います。
ドイツのメルケル首相も信頼を置くというカリスマ的存在のハッソ・プラットナー氏の影響力は絶大のようで学内にはこのような看板も。
その影響もあってか、Dスクールの産学協同プロジェクトにはベンツ、アウディー、フォルクス・ワーゲンなどドイツ系自動車メーカーの名前が数多く見受けられます。
産学協同で活動したいという企業からのオファーは大量に来ているようです。常に長いウエイティングリストがあり、次回一緒にプロジェクトを行うには数年先になると。(今の在学生とプロジェクトをすぐにやるのは無理とのことでした)
いきなりDスクール創設者のデビット・ケリー教授に会えてしまった!
知り合いの誘いで、ふと立ち寄ったDスクールですが、いきなりアポなしでデビット・ケリー教授に会えてしまいました!奇跡です。たまたまトイレの前でバッタリ。そりゃ、歩いてますよね、ここの責任者でボスなんだから。
デザイン思考法の提唱者のお一人であり、アメリカの人気デザインコンサルティング会社IDEOの創設者でもあります。TEDにも登壇されています。
お忙しいはずなのに、ご挨拶してお願いしたら、快く数分間会話させて頂くことができました。この時は産学協同プロジェクトを行える可能性はありますか?という質問やプロジェクトの傾向はどのようなものかをお聞きできました。
産学協同のプロジェクトはやはりオファーが多すぎてすぐには厳しいと。
プロジェクトの傾向としては、地元の自治体や非営利団体などとの社会課題解決のテーマが多いとのことでした。例えばフードロスをどうしたら減らせるか、など。
↓デビット・ケリー教授が設立したIDEOに関連する記事はこちら
アメリカのデザインコンサル会社と仕事するメリット
イノベーションを生み出す為に工夫された設備の数々
教室を見学させてもらって気づいたことがありました。置いてある家具、机や椅子の多くのものがキャスターつきとなっていて、プロジェクトやチームの大きさなどに合わせて、フレキシブルにレイアウトをすぐ変えられるようになっています。
プロジェクトに必要な自分の道具が一式保管しておけるコンテナーボックス。この箱もキャスター付きでゴロゴロと場所を移動させることができます。
素早くアイデアをプロトタイピングするための工房の壁には様々な工具が整理されて掛けてあります。
所属する学生のポラロイド写真が全員分壁に掲示してあります。これは所属意識を持ってもらうのと、モチベーションを継続してもらうためだといいます。
各プロジェクトルームには大量の色とりどりのポストイットが。ポストイットは自分のアイデアを表に出す道具、これがなければ始まらない。
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